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ブンさん


 落語ファンにとってはお馴染みの元TBSアナウンサー山本文郎(やまもとふみお)さんがお亡くなりになりました。2月26日(水)午前2時6分、肺胞出血との事でした。
 
 ブンさんの愛称で親しまれた山本さんは、早稲田大学第一文学部国文学科卒業後、昭和32(1957)年にラジオ東京(現TBS)に第五期アナウンサーとして入社され演芸番組を担当し、ラジオ東京専属だった八代目 桂文楽からは「あ~たは、いい人だ。あ~たのように笑い転げる司会者は見た事がない」と云われ、可愛がられました。
 
 一般的にはテレビのワイドショーの司会者として知られ、そのにこやかで優しいキャラクタが親しまれました。他方落語ファンにとっては・・・もし「落語の殿堂」と云う物があるならば、絶対に入れなければならない名司会者でした。
 
 劇作家の榎本滋民(えのもとしげたみ 1930~2003)さんと共に、「TBS落語特選会」と云う国立小劇場で収録した第五次落語研究会の高座を、昭和41(1966)年~平成8(1966)年までの30年間、二人がちゃぶ台に胡坐をかいてその演目に付いて山本アナが素人感覚で質問し、榎本さんがご通家の立場で、非常に判りやすい解説をしてくださいました。
データ・・・山本文郎(やまもとふみお)本名同じ 昭和9(1934)年12月23日~平成26(2014)年2月26日 享年79 東京市小石川區出身
 
 解説映像データ・・・平成3(1991)年 国立小劇場 山本文郎57歳 榎本滋民61歳時
 
 高座映像データ・・・昭和45(1970)年10月28日 第32回落語研究会 国立小劇場 文楽78歳時
 
 データ・・・八代目 桂文楽 明治25(1892)年11月3日~昭和46(1971)年12月12日 享年79 前名=翁家馬之助 出囃子=野崎 紫綬褒章 勳四等瑞宝章 本名=並河益義 通称=黒門町
 
 奇しくも山本さんは黒門町の師匠と同じく79歳でお亡くなりになりました。ご冥福をお祈り申し上げます。
 
 芸能人の昭和九年会のメンバーがまた一人お亡くなりになりました。昭和九年会と云うのは昭和9(1934)年生まれの芸能人が昭和30年代以降のテレビ時代に活躍する事が多かったので、42歳の厄年になる昭和51(1976)年に愛川欣也さんと長門裕之さんが中心になって結成した昭和九年生まれの芸能人の会です。
 
 メンバーで存命なのは(敬称略)・・・愛川欣也、大橋巨泉、財津一郎、橘家圓蔵、藤村俊二、松平直樹、森岡賢一郎、前田憲男、睦五朗、森山周一郎。
 
 物故者は(数字は没年)・・・山本文郎(2014)、石原裕次郎(1987)、伊藤一葉(1979)、坂上二郎(2011)、佐藤允(2012)、玉置宏(2010)、長門裕之(2011)、引田天功(1979)、藤村有弘(1982)、牧伸二(2013)。
 
 本来は、モヤ藪の不忍池取材シリーズの残りの記事を出す予定でしたが山本アナの訃報に接し、落語ファンとしてはどうしてもブンさんを先に出さざるを得ませんでした。あっちの寄席は超豪華メンバー揃いですので、また榎本さんと一緒にあっちでちゃぶ台を囲んでちゃぶだい。もうすぐ見に行きます(^ω^)

コメント

No title

私も今朝のニュースで知りました。「落語研究会」で、榎本先生を相手の進行など、見事でした。
生前ラジオ番組で、昭和の名人達の裏話を語っていたのが忘れられません。ご冥福をお祈り致します。

No title

前の落語研究会の対談は聞きごたえがありましたね。落語の理解者が減るのはさびしいことです。

No title

ストーンズのコンサートのあと泊まって帰りの新幹線で知りました。落語研究会が番組として価値を高めた功労者ですね。
合掌

No title

文さん、江戸弁でしたなぁー、冥福を祈ります。

No title

*菖蒲園さん。。
榎本滋民さんと云う方は、落語や古典芸能に詳しい真面目な劇作家ですから、普通のアナウンサーでは上手く話を引き出すのは難しいんですよね。TBSが今でも毎月一回放送している「落語特選会」と云う一時間番組を30年間も、榎本さんと二人で放送できたと云うのはやはり、文さんのキャラクタだからこそ上手く榎本さんから話を引き出せた訳であり、榎本さんも文さん相手でなければ、あのような話は出来なかったと思います。

現在の「落語研究会」と云う番組では解説を京須偕充さんがやってるのですが、相手の女子アナ(現在の女子アナは二人目)が、演目の予習をしていないどころか落語好きとは思えないので、京須さんとしても話しにくいし、文さん榎さんコンビのような解説芸になってないと藪さんは思います。TBSには人材がいないんだったら、堀井ちゃんを起用して京須さんにぶつけた方が面白いと藪さんは思うんだけれど・・・

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*snob先生。。
榎さん文さんコンビってのは、ひとつの落語の解説芸ってのを30年掛けて作り上げたと思います。

最近の藪さんの落語研究会物の動画では、高座だけではなくてお二人の解説部分も高座の前後に入れるようにしていますので、動画が長くなっちゃって申し訳ないのですが、お二人の演目談義は高座ばかりではなく十分に文化的価値があり、保存して行くべきだと藪さんは考えているからなんです。

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*キャバンさん。。
まあ79歳にもなればご高齢で亡くなるのは仕方がないのですが、いろんな事を教えていただいた方が次々に亡くなって行くと、自分もそれなりに歳をとったと云う事であり、人生哀しいなぁとは思うのですが、いつまでも年寄りが頑張ってたんじゃ、若い人たちが出て来る場所がない訳で・・・世の中は上手く出来てるんですよ。

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リコメを拝見し、山本文さんと榎本さんの「落語特選会」での『解説』は、落語のバイプレーヤーとしての『芸』でしたね。
一回で2席を放送したころから、この番組の音声だけは解説付きでエアチェックしていましたが、正解でしたね。

No title

今朝知りました…残念です。ご冥福をお祈り致します。
私はお二人が解説なさっていた当時を直接は知らず、
DVDでしか拝見したことがありませんが、
現在の落語研究会の解説に比べると、やはり雲泥の差がありますね。
文さんのような落語好きのアナウンサーは、もう今のTBSにはおられないのでしょうか。

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*Marsさん。。
文さんは決して自分の事を自慢せずに、よく下調べをしてから榎本さんに質問していた素晴らしいアナウンサーだったと思います。

残念ながら今の落語研究会と云うTBSの月一の落語番組で解説なさっている京須さんがもし藪さんだったら・・・質問している女性アナウンサーが何も勉強していないのに腹を立てて「無礼者!」と云って、番組を打ち切っちゃうと思います。

アナウンサーってのは解説者が解説しやすいような質問をし、何を云うかをちゃんとあらかじめ勉強してから質問しなくちゃ、プロのアナウンサーとは云えないんです。

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*キャバンさん。。
落語ってのは高座だけが楽しみなんじゃないと思います。その落語を聴いた人たちが、ああだこうだと議論する事もまた落語の楽しみなんだと思います。だからこそ私にしたって菖蒲園さんにしたって面倒臭いけど、落語の記事を音源付きで書いているんだと思います。そうじゃなかったら、こんな面倒臭い事はやりません。

売れないからほとんどが廃盤になっちゃってますが、在庫があるモノならCDやDVDをお買い上げ下さいで終りなんです。

圓生百席の全部ではありませんが、圓生さんが落語を語ったあとにその落語に付いて語ってる音源があります。落語ファンってのは落語そのものは何十回も聴いてるんで、改めて聴かなくたって頭にはちゃんと入ってるんですが、演者のその演目に関する芸談とか、落語をちゃんと理解なさっている方の解説ってのは、高座で聴いただけでは判らない部分を解説してくるるので、非常に貴重なんです。

榎本さんは我々のような素人とは比べ物にならないくらい、落語に関連する古典芸能に精通なさっていて、その薀蓄は本編よりも貴重だとさえ云えます。落語なんて何にも判ってなかったアンツルなんかとは大違

No title

*かぎさん。。
左様左様。ごもっともごもっとも。あとは・・・なかなか(^ω^)

小人は養いがたしだス(´,_ゝ`)プッ

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*羊羹豆腐さん。。
TBSにはかつては、川戸貞吉のような有能な落語ディレクターがいて、文楽や正蔵や圓生の落語研究会での高座映像は、彼の努力によって残されたと云ってもいいのですが、残念ながらもはやTBSにもNHKにもちゃんと落語を理解している社員はいません。

テレビからは落語映像が時々は流れるのですが、残念ながらもはやテレビ局にはその映像をちゃんと理解して放送しているディレクターがいないって事なんです。つまりライブを除いて落語は終わったんです。

それを終わらせたくないと頑張ってるのが藪さんと菖蒲園さんだって事なんです(^ω^)

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